ヒビスタ日記

泌尿器科医師のブログ。日本人の泌尿器科リテラシーが上がることを願って記事書きます。

日頃から気を付けるべし!~尿路結石の予防まとめ~

みなさん、尿路結石症というご病気をご存じでしょうか。一度は聞いたことある方が多いと思われます。

 

尿路結石症とは、、

尿路(腎臓→尿管→膀胱→尿道)に結石ができる疾患

のことです。

腎臓に結石ができる場合は腎結石、尿管にできる場合は尿管結石、膀胱にできる場合は膀胱結石という名前になります。

 

症状は、無症状のこともありますが、激しい腰部・背部痛を感じる方が多いです。血尿や頻尿などを生じることもあります。場合によっては結石による尿路の閉塞・狭窄に起因する発熱がみられることもあります。

 

尿路結石症は、生活習慣病の一つと言われています。ですが、遺伝の要素もあるため、すべて生活習慣病というわけではありません。ですが、統計的にも臨床的にも肥満の方に多いです。

 

今回は、医療機関外での尿路結石の予防方法についてご紹介します。

※一部は血液や尿や結石の構成成分によって勧められるものがあります。

 

●たくさん水を飲む

一日に2L以上の水分摂取を推奨している論文が多いです。水分を摂取することで、尿の濃縮を防げることと尿の流れを多くすることで結石形成を防ぐとされています。シスチンで構成される結石ができる方はより多くの水分摂取が推奨されています。また、気温の高い夏により多くの水分摂取が必要となることは言うまでもないでしょう。

●動物性脂肪を控えめに

脂肪成分は、腸管の中でカルシウムと結合しやすい性質を持っています。そのため前述したシュウ酸と結合するカルシウムが少なくなるため、シュウ酸が吸収されやすくなり結石ができやすくなってしまいます。胃や腸管の術後の患者様では腸管性高シュウ酸尿症が起きるのも同様の理由です。

●動物性タンパク質を控えめに

卵や肉、魚の食べすぎはやめましょう。動物性たんぱく(特に肝臓)にはプリン体が含まれ、体の中で尿酸に代謝され、尿酸の尿中排泄量が増加します。また、動物性たんぱく質は尿中へのカルシウム排泄を増加させ、クエン酸排泄を減らすとされています。以上より、尿酸結石もカルシウム結石もリスクが上昇します。

●ナトリウム(塩分)を控える

ナトリウム摂取量が増えると、尿中へのカルシウム排泄量が増加するとされています。アメリカ基準では、ナトリウム摂取量を一日2300㎎以内にするといいとされています。

●カルシウムをしっかり摂取する

一日600-800mgのカルシウムを摂取することがよいとされます。低脂肪牛乳コップ一杯に含まれるカルシウム量はおよそ300㎎です。一見、カルシウムで構成される結石が多いため摂取しないほうがいいように思えます。ですが、他の構成成分であるシュウ酸と腸の中で結合することによりシュウ酸の腸管吸収を少なくしてくれることから結石の予防効果があるとされています。カルシウムのサプリメントによる摂取は、効果が薄いとされているため、食事からの摂取を心がけるといいでしょう。

●シュウ酸の摂取量を減らす

シュウ酸から構成される結石ができやすい場合、シュウ酸の摂取量を減らすことによる予防の可能性が示唆されています。シュウ酸を含む食品は、キャベツ、ブロッコリー、タケノコ、バナナ、お茶(玉露・抹茶・煎茶など)、ココア、チョコレート、ナッツ、コーヒー、紅茶などに多く含まれます。カルシウムと一緒に摂取すると吸収をおさえてくれるためなおよいです。

クランベリージュースをはじめとする果汁系ジュース

種類、効果は様々ですが、代表的なクランベリージュースに含まれるタンニンは抗酸化作用あり、結石予防に効果があるとされます。

 

 

いかがでしょうか?

上記に加えて医療機関での結石の成分分析や血液・尿検査を行った上で薬物療法を追加してもらってください。

結石は長く付き合っていくことが必要となる疾患ですが、うまく付き合っていきましょう。

 

(参照)

●Which Diet for Calcium Stone Patients: A Real-World Approach to Preventive Care